農家紹介

かねこ農園

梨中心に栽培している農園です

かねこ農園の金子亜矢と申します。まだ就農したばかり、農業は見習い中です。
果樹栽培が盛んな中ノ口川の流域、児ノ木(ちごのき)という燕市の一番端にある集落、そこに私の農園があります。現在は、8月に収穫時期を迎える愛甘水からはじまる和梨を6種類、洋梨はルレクチエを栽培しています。
他に新潟名産の八珍柿を2種、その他に十全なす等の野菜を数十種類、ちいさな畑で育てています。
くだものの栽培について心がけていることは、肥料を多くせず、農薬も適正な範囲で控えめにすること。特に肥料を控えめにすることがひとつのポイントで、それによって植物の力が引き出され、果実の味がよくなることにつながっていると感じています。
野菜栽培については、いくつかの栽培方法で行っており、量は多くなくても安心できる作物を栽培することを心がけています。
そう言いつつも農業見習い中ですので、栽培法については実践しながら学びながら、今後よりよくなるように努めてまいります。

かねこ農園の歴史

私は農業をはじめて間もないですが、金子家は江戸中期から続いている農家です。私で9代目となります。
現在、農園の歴史について詳しく知る事ができないので、はっきりとしませんが、農園の梨の栽培については、私の祖父の祖父が苗木を植え、昭和初期には既に梨畑があったと聞いています。
農園がある中ノ口川流域は、なんでもよく育つ土壌に恵まれています。この地域は1万年前から川が氾濫を繰り返していたために、上流からのミネラル分を多く含む肥沃な土壌が堆積しているのです。
現在では田んぼの管理は親戚にお願いをしていますが、先代の頃には稲作、果樹・野菜栽培と家族経営で幅広く作物を栽培していました。

朝カフェ開催のキッカケ

私が燕三条畑の朝カフェの取り組みを知ったのは、2010年の秋。
その頃に参加者としてうかがった、朝カフェ前身の農園での朝食会が、ひんやりとしてここちよい朝の果樹園の空気とともに、それからずっと心に残っていました。
しかし、農家に生まれて幼少期から見てきた先代の農業について、そこまでできるとはまったく思えなかったその頃。バリバリの農家だった先代である父が若くして急逝、母が細々と続けられる範囲に縮小してしばらく経ち、自分が農業を生業とすることを現実的に考えられない頃でした。

この時点では朝カフェについて、もちろんただの憧れとして胸にしまいました。
それからも、朝カフェの取り組みがすばらしく、参加するのにもハードルが高い印象で、手の届かない存在というか、農業をすることについて前向きに考えられなかった頃であるからこそ、いろいろと考えるところもあり、参加できずにいました。
それからしばらく経ち、将来の農園について、私の今後の仕事について、いろいろと考えて、このまま先祖が守ってきた農園をなくすのはどうしてももったいなくて後悔を残したくなかったので、農園を継ぐことに決めました。

見上げる一面のぶどう棚。大好きだった場所を復活させたい!

そんな風に農業に飛び込んだ私ですが、農業でやりたいことがたくさんあり、そのひとつに父が力を入れていたぶどう作りを復活させたいという思いがあります。
小さい頃から温かなぶどうのハウスの中、作業中の家族の傍らで遊ぶのが日課で、特に春先のまだ肌寒い頃に入ると、守ってもらっているような安心感がありました。
しっとりとした土の匂いが充満して、見上げる一面のぶどう棚に房がたくさんついている様子は何とも言えず、だいすきな場所でした。
作業についてはものすごく忙しく大変そうではありましたが、ひと房ひと房に手をかけて、かわいがる様子はまるで手の中の宝物を大事に愛しんでいるかのよう!…大げさに言うとそんな感じです。

農園には、ずっとがんばってくれている大切な梨もありますし、農業初心者の私が、手間のかかるぶどうを植えると決めるのは、実はとても勇気の要ることでした。しかし、自分にとっての目標は大事にしたかったのであきらめきれませんでした。
母によると、私が生まれたばかりの頃にはまるでぶどう農家とも言えるほどぶどうの面積を増やしていた時期があったそうで、まさに父譲りのぶどう好きの血が私に流れているのだと思います。
やると決めたからには立派に畑を再生させたい。そう思う反面、どうしても難しい部分もたくさんあります。母とふたりの農業では手が足りないのは目に見えています。また、農業は担い手が不足していて、周辺地域の農家でも後継者がいるところは限られています。平均年齢も高い。空き畑も少しずつ目立つようになってきています。なんとなく、このままではよくないなと農業を志すと同時に思い始めました。地域も農園も魅力を発信して、まるごと応援してもらえたらいいのに、そんな風に思っていました。

ようやく朝カフェに参加

そんな思いを持っていた農業研修を始めて数か月経った頃、ようやく朝カフェに参加をする機会を得ました。棚田の朝の気持ちよさ、難しい場所で農業をまもってきた先輩のお話、勝手にうちの農園の状況に重ね合わせて、なんだか心に響くものがありました。
きっと他に参加された方も、絶景や美味しい食事を楽しみつつも、棚田が抱える問題にふれて開催農家さんを応援したいという気持ちを持ったのではないかと思います。

やっぱり自分が農業をするのだったら、朝カフェをお手伝いしたい。もしかしたら、いずれ農園でも朝カフェを開催できるかもしれないし、それをこれからスタートする自分の農業経営にも活かせたら。そう思って、その時の思いを参加者アンケート用紙に書き込みました。それが2017年の夏、ちょうど記念すべき〇回目の誕生日でした。

でも、快く迎え入れていただいた先輩方の朝カフェ開催を手伝うとともに、まだまだこれからの農園の姿は、いままでのすばらしく美しい朝カフェのイメージを壊してしまうのではないだろうか、知識も実践も圧倒的に足りていない農業初心者の私で本当に大丈夫なのか、幻滅されてしまったらどうしよう…と踏み出すのに勇気が要り、しばらくの間固まっていましたが、辛抱強く見守ってくださり、サポートくださった皆さまのおかげで、2019年のこの春の訪れとともに今回ようやく開催にこぎつけました。
本当にありがとうございます。

実るまでの成長過程も一緒に楽しんでいただきたい

農園での朝カフェを開催するにあたり、参加されるお客さまに感じていただきたいのは、これからの農園を園主ごと、植え付けた苗木ごと、ご自身が育てるつもりでかかわるおもしろさです。今後何十年もかけて成長する苗木、それが何年か経って、やっと実らせる果実を楽しみに、どうぞ朝カフェ後もたびたび足を運んでいただきたいと思います。かつての私がそうであったように、お休みの日に畑に出るだけでも気持ちがいいと思います。ご自身が植えた作物の様子を見たり、時には作業をお手伝いいただいたり、そんな休日の過ごし方はいかがでしょうか。
その際には四季折々の、この地域の果樹園や野菜の畑、近くに広がる田んぼや遠くに望む美しい山々などの風景の中で、農園の傍らに佇んでのんびり時を過ごしたり、農作業をお手伝いいただいたりして、ゆっくりと育つ果樹のおもしろさとくだものの価値を感じて、どこにでもありそうだけれどやっぱり少し違う地域のよさを感じていただけたらと思います。
それをとおして、昔から育まれてきた中ノ口川流域の果樹栽培地域について少しでも多くの方に興味関心をもっていただけたら、幸いです。

また、そうしたちいさな取り組みが、いつかは次の担い手となる人に何らかの形で役に立つことをほんの少し期待しています。
私は農業を始めて、たくさんの先輩に助けていただきました。
直接手助けいただいた先輩方はもちろん、地域の農業をまもってくださっている先輩方の功績があるからこその今があると日々感じています。私も自分自身の場所で精一杯頑張ることで、次につなげることができたらと思います。

かねこ農園の詳細情報

農園名かねこ農園
栽培しているもの梨、柿、野菜など
購入方法直接農園にてお求めいただけます。
また、燕市内の直売所にも一部置かせていただいています。
住所〒959-1223
新潟県燕市下児ノ木62
Facebookhttps://www.facebook.com/tsubamehachindon/